この記事の最終更新日は 2017年9月29日 です。現在は状況が異なる場合がありますので予めご了承ください

今回の神戸旅行の目的のひとつが、この和田岬砲台の見学だったんです。

前回の記事(見学ツアー集合場所までの行き方まとめ)でも少しお話しましたが、この和田岬砲台は三菱重工さまの造船所の敷地内のため、いつでも見られるわけではなく、事前の見学申し込みが必要。しかも月1回というレア度なのですが、たまたま神戸旅行の日程があったこともあり、訪問することができました。

 

この砲台、城郭・築城好きさんや幕末・日本近代史好きさんには特にたまらんと思います。そのあたりについても後述しますね。
個人的にワクワクのとまらなかった見学ツアーでした!

 

 

 

●全国的にもとても希少 和田岬砲台とは

 

江戸時代末期、黒船来航より外国船の来襲を警戒した江戸幕府は、江戸湾や大阪湾などの重要な湾に防備のために土塁や砲台を築城することを考え、勝海舟の設計のもと、作られたもののひとつがこの和田岬砲台です。

 

現在ではさすがに痕跡を残すのみですが、大砲を設置した塔の周囲に築かれた土塁は星型をした西洋風の築城でした。

日本で現存している星型土塁(稜堡式城郭)で有名なのは函館の五稜郭ですね。

この星型の土塁は日本ではあまり存在していません。
この形は地続きで小競り合いの耐えなかったヨーロッパで、城郭の守りを堅固にしていくなか発達していったそうです。

 

ヨーロッパ各地には今も現存する稜堡式城郭が数多く残っています。

例えばこちら。

 


ポルトガルのエルバシュ(Elvas)…から見える近くの小さい稜堡式城郭。

 

渡欧経験は数えるほどしかないんですが、エルバシュ(エルヴァス表記が多)という町自体も、わたしが行った数少ない稜堡式城郭で、町自体が星型に築城されている城郭都市でした。現在もその面影が色濃く残っている街の造りとなっています。

 

閑話休題。

 

外国船警戒の意味で築城された砲台は和田岬砲台以外にも、品川や神奈川、また神戸では西宮の方にもあったそうですが、現存している当時の砲台はここだけだそうです。
この砲台は1864年(元治元年)には完成していましたが、結局一度も実践に使われることはありませんでした。
その後、祝砲用として残され、その祝砲も実際撃たれたかは定かでないまま、最終的に明治後期に三菱合資株式会社に買収され、会社敷地内に保存され現在に至ります。

 

 

●月イチのみ! レア度満点の見学ツアーの申し込み方法

 

基本的に見学できるのは、

毎月第2木曜日の午前9時30分もしくは10時20分スタートの見学ツアーのみ。

 

事前に下記ページに記載の受付窓口に、希望月の2カ月前~見学希望日3日前までに電話して見学の予約受付。
あわせて、下記ページの下の方にある申込みのPDFをプリントアウトし、必要事項を記入。電話受付後、FAXをして予約は完了となります。

 

↓詳しい手順・申込み用紙はこちら↓
三菱重工株式会社-和田岬砲台
http://www.mhi.co.jp/company/facilities/wadamisaki/

 

充実した見学内容なのに、なんと見学ツアーは無料。
見学日当日、自分の予約したツアー開始時間の5~10分前に、三菱重工株式会社神戸造船所正門前に集合となります。

集合場所への行き方は前記事を参照してくださいね。

 

【三宮発】和田岬砲台駅へのオススメルート
&見学集合場所の三菱重工株式会社神戸造船所正門前までの行き方

 

 

●見学ツアーの概要まとめ

 

細かい内容は実際に現地でのお楽しみにしてください(笑)
ただ公式のサイト以外にあまり情報がないようだったので、観光の優先度や予定を立てる時の参考程度に見学ツアーの内容・流れをお話します。

 

ツアー時間は約40分。
質問などにも答えてくださったり、参加者の人数が多いとその分時間がかさみそうなので、予定をたてる時は約1時間と考えておいたほうが安心かなと思います。

 

集合場所からガイド役を務めてくださる社員さんお二人と他の参加者さまといっしょにマイクロバスに乗って、三菱重工さんの神戸造船所内をぷちドライブ。
お仕事をされている方の間をすり抜け、なかなか見ない他所様の会社敷地内を眺めながら(機密保持のため車窓も撮影NG!)、約10分ほどで目的の砲台に到着。

 

砲台の周囲はちょっとした広場になっています。建物と建物あいだからは海も見えていたかな? 写真がないとうろ覚えなことがバレますね(笑)
星型土塁の面影はもはやなくなっていますが、土塁の痕跡の盛り上がりもわずかに残っていました。
残念ながら見学場所の砲台そのものも、外観の写真は撮れません。ただ砲台内部1階のみは撮影OK。

 

内部に入る前からガイドさんの説明が始まります。

外観の説明をひとしきりしていただいたら、靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて、内部へ。

砲台砲台さっきから言っておりますが、実際は大砲を設置するための塔です。
外装の石造りはとてもあつく、内部は内部で木造の梁やら金属の金具の固定やらされていて、とても丈夫そうでした。実際、阪神淡路大震災でもほとんど影響はなかったのだとか。

 

なお金属の金具固定は幕末の築城当時から使われていた技術です。

 

 

入り口入って正面の井戸。

 

大砲を撃つことを想定して建てられたため、大砲を冷やすための水は欠かせません。
そのための井戸だそう。水と言っても、場所が海のごく近く(港・湾防衛目的なので当然ですが)なので塩水だったのではないかと思うんですが。ガイドさんもそれっぽい回答だったかと…。
しかしその場合、大砲、サビそうなんですがどうなんでしょう。こまめに手入れすれば大丈夫なのかな?

 

 

接ぎ木してあります。

 

和田岬砲台は大正末~昭和頭にかけてと、平成21年~平成26年3月末にかけて、2回の大修理がありました。特に平成になってからの修理は、かつての材料・技術すら希少になっていて、修理の資材等を集めるのすら困難だったようです。

なるべく使える素材は元々のものを使い、新しい材料を使う時も、古い方の部品の色に揃えたのだとか。この柱も、一部は元々の資材。一部は修理時に新しい資材を使ってありますが、色味は揃えてあります。

 

 

逆に2階に続く階段は、新しい資材の色のままです。
これにも理由があるのですが……これは現地に行ってのお楽しみで!

 

概要と言いつつ、ちょいちょい見学時にお話いただいたことをバラしてしまっているような…( ̄Д ̄;;
しかしまだまだガイドさんの貴重なお話は盛りだくさんなので、ぜひ現地で聞いてくださいね。
また移動時の車内でも、和田岬砲台のことだけでなく神戸造船所の小話をお聞きできて楽しかったです。

実際にお世話になったガイドさんsはもちろんですが、保存するだけでも大変であろうこの砲台を残してくださっている三菱重工さんにも心から感謝です!

 

 

●さいごに

 

日本の幕末~近代史が好きな方や、お城や城郭好きな方は、あまり知られていませんが、ぜひ機会を見つけて行ってみていただきたい場所です。

 

また周辺を巡る街歩きガイドツアーなんかもあるようです(2017/09時点)

 


詳しくは 阪急・阪神沿線観光あるきのページ を御覧ください。
http://www.hankyu.co.jp/area_info/kankouaruki/hankyu-hanshin/index.html

 

和田岬砲台見学の後に、神戸市立博物館を見るのもオススメ。
1階の常設展示のなかに、和田岬砲台についての物がありますよー。

 

 

 

↓和田岬砲台の概要・見学ツアーの申込みはコチラ↓
三菱重工株式会社-和田岬砲台
http://www.mhi.co.jp/company/facilities/wadamisaki/